2023年8月20日日曜日

モスク(イスラム教寺院)へのフィールドワーク

いつもお世話になっている郭教授のゼミと合同フィールドワークへ行ってきました。対象は東京にあるモスク(イスラム教寺院)。総勢16名。途中から学生の団体であることをよくわかっていないオバサンも紛れ込んでの珍道中でしたが、ガイドさんの説明もわかりやすく、施設内でトルコの食文化をわずかですが堪能し、礼拝にも参加してきました。

近年とみに調査研究対象としている密教寺院と、このモスク、いつものことなのですが、堂内の装飾と信仰について深く考えさせられます。像や器はなく、壇もない。権威や権力を象徴するものが何もないのです。

 また、個人の信仰の表現についても。

「さあ礼拝の時間だよ、モスクにいらっしゃい」という呼びかけ(アザーン)を朗々と詠唱した後、すぐにスマホをいじりだしてくつろぐ詠唱者の姿が印象的でした。これには学生たちも驚いたようで礼拝後「あれ、いいんですか?」と質問攻めに。やたら儀式ばったり、畏まることが当たり前とされるこの社会の宗教の在りようからの乖離に驚いたようでした。

「いいんだよ。信仰は心の問題だからね」と私。もちろん、ムスリムだって畏怖の念を知らないわけではないですから、時と場合によるのですが。

信者の皆さんの行動を観察していると、それぞれの気持ちで聖地メッカへ向けて祈りを捧げていることがよくわかります。画一的な動きもするけれど、それは全体の構成においては「部分」に過ぎません。寺院における内陣と外陣のような隔ては、イマーム(指導者)と信者の間にはなく、神の前にすべての人は平等という形がモスクのなかに貫かれています。

日本国内のイスラム教信者が増えていると言われています。このモスクのガイドさんの説明にもありました。日本国籍を持つ方のなかに少しずつですがムスリムになる方も増えてきているようです。なぜなのか。その理由はさまざまでしょうが、宗教の「市場化」が後押ししていることは否めないと思います。信仰と金銭との結びつきの強さ、それに対する懐疑といってもいいかもしれません。宗教が「職業」となったとき、労働市場に引きずり出されることは必然であり、その労働に伴う営為により何が得られるのか、コストパフォーマンスが求められることが少なくないように思います。

このモスクの見学に料金は要りません。すべての人を受け入れようとする「気」の清浄さを感じます。

東京ジャーミイ

モスクの前で


2023年8月5日土曜日

卒業研究中間発表会(経営領域)が開催されました

モチベーション行動科学部・経営領域の卒業研究会が開催されました。

モチベーション行動科学部は、経営、心理、教育の3つの領域を学び、3年生からいずれか1つの専門に絞ってそのゼミ(研究室)に所属して勉強に励みます。近年、経営領域は学部中最多の学生が属するようになり、今年の卒業研究発表会は午前・午後の二部制にしなければならないほどの盛況となりました。

今年の我が研究室の卒研生(4年生)の研究題目は以下の通りです。まだまだ題目そのものを練る必要はありますが、およその方向性は出ています。 

1 喜田家町屋店2階和風サロンの活用のしかたについて

2 学生と地域の接点を可視化するプロジェクト

3 東京未来大学オープンキャンパスにおける街歩き企画の可能性

4 キャンプ場経営による地域活性化について

5 東都生協との協働による居場所づくりプロジェクト

6 足立区における子ども食堂の課題について

7 SDGsビジネスに関する実践報告 ー麻袋・足立区内企業との共同バッグ制作ー

8 地域の魅力を最大限引き出すスタンプラリーの活用方法

9 若年層向け足立区魅力発信プロジェクト

このうち1は昨年度の卒業生が手掛けたプロジェクトの後継です。色彩検定2級をもち将来はインテリアコーディネーターを視野に入れてキャリア構築を目指す学生の研究(卒業論文)になります。

2は、副題で絞りをかけるのですが、地域活性化を促すフリーペーパーの創刊を区内NPOとの協働で目指すプロジェクト報告書になります。長年、区内外で協働・共創に従事してきた学生の研究がどう結実するのか見ものです。

3は、一昨年度以来、生涯学習センターとの協働で継続している地域活性化のためのまち歩きプロジェクトを、オープンキャンパスに組み込む計画案です。長年、オープンキャンパスのボランティア(未来大では「キャンパス・クルー」と呼びます)に注力してきた学生ならではの研究になるでしょう。

4はキャンプを趣味とする学生が自らのキャリア構築と重ねて実施する研究となります。コロナ禍でキャンプが盛り上がりを見せましたから、その前後を比較すると面白い研究になりそうです。

5、6は、学生は異なりますが、ともにコミュニティの「居場所」にかかわる研究になります。一方は組合企業、もう一方は様々な地域主体がかかわるものですが、その背景にあるものは「格差問題」です。子ども食堂の最終目標は子ども食堂をなくすことであり、「居場所」をわざわざ他者が設けなくとも人々が自らの居場所を容易に見つけられるコミュニティの構築です。両学生とも、ほんとうに「子ども食堂」「居場所」が必要な人にその情報が届いているのか、利用できているのかという問題意識をもって研究に臨みます。

7は、これまでこの研究室ブログでもたびたび話題にしてきた、輸入されたコーヒー豆を入れていた麻袋を利用したバッグの製作・販売過程を追う報告書になります。

8は、その起源をお遍路や巡礼に求めることができるスタンプラリーが地域活性化に貢献できるのかどうかを問う研究になります。すでに複数回フィールドを踏んでいますが着眼点の良い学生なので調査結果をどのように展開するのか、楽しみです。

9は2人の学生の共同研究になります。経緯は3の研究と同じですが、北千住の地域資源は商店街であるという持論からこれをまち歩きに組み込んだまち歩きルートを作成し、それをさらにSNS等で情報発信するとどのように「つながり」や集客に成果が表れるのかを計量的に分析します。

まああくまで予定なので今後どうなるのかわかりませんが、うちのゼミだけでなく、経営領域のゼミの士気は高いです。 2月の卒業研究発表会が楽しみです。

午後の発表の様子


2023年8月1日火曜日

ほおづきが実をつけていました

毎年、このホオヅキが路傍に彩りを与えてくれて、楽しんでいます。

植物は裏切らないですね。