2017年9月5日火曜日

若武者のデビューと大学人の責務

建築学会で広島に行ってきました。

共同発表者として名を連ねましたが、私の主たる任務は今年卒業し、行政職に就いた若者の初めての学会発表をサポートすることにありました。不測の事態もあるので自らの口で語ることも想定しておりましたが、そのようなことはなく、彼は見事に学会発表を成し遂げました。その勇気にまずは敬意を表します。

また、上武大学経営情報学部の学生が、調査・研究に従事し、卒業研究で執筆した論文内用を学会で発表するということは、希有かつ賞賛に値する例となると思うので特に記しておきたいと思います。

大学人として優先すべき業務は研究と教育ですが、社会へ巣立つその間際に携わっている者として、どうしてもキャリア教育を考えざるを得ません。もちろんそれは、ワーク・キャリアだけでなく、ライフ・キャリアすべてということになると思いますが、関わっている学生のキャリアを考える、ということは大学人の責務であるように思います。

私はまちづくりについて社会科学と建築学の視点から調査・研究を進める者ですが、自分の研究室に、まちづくりとともにキャリア・デザインの名を冠しているのは、まちづくりの調査・研究過程を通じて若い世代に自らのキャリアを開拓してほしい願いを込めているからでもあります。

今回の発表者はその具現者でもあります。

また、もうひとりの若武者に会ってきました。大学卒業後、広島の公共キャリアに就いた者です。もともとは違った進路を考えていた学生ですが、現職に就いてどのように過ごしているかを尋ねる意味を含んだ対話でした。

彼はこのような話をしてくれました。
彼が在学時に2つの可能性のある進路を示して、どうしたらいいかを私に問うたそうです。
かなりの時間をその選択に関する相談に当ててきていたこともあり、私は「自分の人生、自分で決めるしかないんじゃあ」「自分の人生を自分で選んだ実感持たないでどうするんじゃあ」と広島の言葉をおどけて真似て言ったそうです。

よく覚えてくれているものだなと笑
彼は選んだ実感をもって臨んだ職場に適応し、配属・昇進を含め、前向きに日々を過ごしている様子に安堵しました。

大学人の責務としてキャリア教育に通じることを改めて実感した2人の若武者との再会でした。

学会では主に沖縄をテーマとする発表を聴き、質疑応答に臨み、研究再開への弾みをつけ、また呉や広島市内のフィールドワークを含め、充実した学会参加の日々を過ごすことができました。

画像上は対岸から眺めた原爆ドーム
画像下は呉のまちなみ/巨大な潜水艦は「てつのくじら館(海上自衛隊呉資料館)」