本日は講義にきぼうのたねカンパニー株式会社代表の菅野氏を外部講師としてお招きし、農業を通じたコミュニティ・ビジネスの現場と社会教育実践についてお話しいただきました。また、原発事故後の福島で農業を営み続けることの意義についても。
180分間の講義なのですが、私はファシリテーターとして、対話者としての役割を果たしながら、徐々に菅野氏と学生との直接的な対話へと導き、大変密度の濃い講義となりました。菅野氏からも「ここの大学はすごい」とのお褒めの言葉を頂戴しましたが、これはつながりを求めて貪欲に食らいついていった学生に対する最大の賛辞と解釈いたしました。
今後、農業は植物工場における生産とどのように併存していくかが課題となるような気がします。自然の土、水、空気による農産物の生産こそ私たちが求めるものですが、一方で植物工場が普及・発展すると、栄養価において、また衛生管理において、どちらの方が合理的か効率的かが問われ、工場栽培に軍配が上がることも考えなければならないでしょう。あるいは、都会の子が虫を怖がって触れなくなるように、いつしか土すらも「汚い」と感じるようになってしまい、工場的な生産による農産物を志向するようになったら、食に対するリアリズムが全く喪失してしまいかねないような気がします。こうした懸念は社会教育としての土や水とのふれあいを幼少期の早い段階から行えば克服できるような気がしますが、一方で保護者がいつしかそれを危険視する時代が来るのではないかとも危惧します。
こうしたさまざまな面で最前線に立っている菅野氏のありかたに学生は大いに共鳴したのでしょう。つながりを得るべく、講義終了後には名刺交換を求める学生が行列に。
私もこのつながりを大切にするべく、来年度は学生を引き連れて二本松へお伺いすることになりそうです。