沖縄で鍛えられたコミュニティにおける公共空間の調査・研究手法。これを、群馬、足立区をはじめとする東京の下町に応用しながら、学生とともに。おもにその活動を記録していきます。
2023年12月31日日曜日
2023年12月22日金曜日
2023年11月4日土曜日
北千住ウォーク 学生が企画した、まち歩きイベントを開催しました
足立区生涯学習センターと協働させていただき、学生が考案したコースをテクテク歩いて回るイベントを開催したので、様子見に行ってまいりました。
北千住というまちは本当に底知れない深みと面白味を持っているまちでしてね。私たちが普段気づかないような路地、空間、店舗について学生から気づきをもらう 、そんなイベントです。
参加していただくとわかるのですが、コースの選択なんてはっきり言ってどうでもいいんですね。それより面白いのは、普段、絶対にコンタクトしない人・集団間のコミュニケーションなんです。最初は緊張感の漂う微妙な雰囲気のなかスタートしますが、同じものを見、学生がポイントを説明、それに対する質問という流れの中でギクシャクした関りが滑らかになってきます。そうすると、「昨年も参加したんだよ」とか「関原三丁目の篠原製菓と雷おこし作っていただろ」というような嬉しいお言葉も聞かせていただいたり。
今回の目玉は、インスタグラムのアカウントを学生のサポートのもとにお作りいただいて、まち歩き中に撮った画像をアップして楽しみましょうという内容でした。まだ開店していないお店についても、店の軒先でその店のインスタを一緒に開いてあれこれと談議。学生に言わせると、ハイブリッドまち歩きなのだそうです。いろいろ考えますね。
4年生は成し遂げたこの企画をもとに卒業研究(プロジェクト報告書)を書き、サポートに回った3年生はこのプロジェクトを次年度継承する権利を得ます。
来年まで見越せば4代にわたって続くプロジェクトになります。協働していただいている足立区生涯学習センターの皆さんには心から感謝申し上げます。またご一緒させてください。
2023年10月30日月曜日
学祭「MIRAI Fes.」におけるゼミ出展が終わりました
9月の後半に後期講義が始まったのですが、その前後からゼミ出展で忙殺されており、ブログの更新も滞っておりました。その他に「しなければならないこと」を背負って一心に走り続けましたが、こぼれ落ちてしまったことがあると思います。これから注意深く道を戻り、拾い集めますので、「返事はまだか」との思いでいらっしゃる皆さん、どうかお許しください。
ゼミ出展は好評のうちに終えることができました。コロナ禍による断絶を経て地域活動が再開され、今年は学祭でも飲食がOKとなりました。我が研究室の学生は総力を挙げて、これまで研究室で学んだ先輩たちの業績を引き継ぎ、日頃からお世話になっている地域企業との協働の成果である商品群を販売しました。
学生にとっては充実した学びの機会でした。携わっていただいた企業の皆さま、誠にありがとうございました。
2023年8月20日日曜日
モスク(イスラム教寺院)へのフィールドワーク
いつもお世話になっている郭教授のゼミと合同フィールドワークへ行ってきました。対象は東京にあるモスク(イスラム教寺院)。総勢16名。途中から学生の団体であることをよくわかっていないオバサンも紛れ込んでの珍道中でしたが、ガイドさんの説明もわかりやすく、施設内でトルコの食文化をわずかですが堪能し、礼拝にも参加してきました。
近年とみに調査研究対象としている密教寺院と、このモスク、いつものことなのですが、堂内の装飾と信仰について深く考えさせられます。像や器はなく、壇もない。権威や権力を象徴するものが何もないのです。
また、個人の信仰の表現についても。
「さあ礼拝の時間だよ、モスクにいらっしゃい」という呼びかけ(アザーン)を朗々と詠唱した後、すぐにスマホをいじりだしてくつろぐ詠唱者の姿が印象的でした。これには学生たちも驚いたようで礼拝後「あれ、いいんですか?」と質問攻めに。やたら儀式ばったり、畏まることが当たり前とされるこの社会の宗教の在りようからの乖離に驚いたようでした。
「いいんだよ。信仰は心の問題だからね」と私。もちろん、ムスリムだって畏怖の念を知らないわけではないですから、時と場合によるのですが。
信者の皆さんの行動を観察していると、それぞれの気持ちで聖地メッカへ向けて祈りを捧げていることがよくわかります。画一的な動きもするけれど、それは全体の構成においては「部分」に過ぎません。寺院における内陣と外陣のような隔ては、イマーム(指導者)と信者の間にはなく、神の前にすべての人は平等という形がモスクのなかに貫かれています。
日本国内のイスラム教信者が増えていると言われています。このモスクのガイドさんの説明にもありました。日本国籍を持つ方のなかに少しずつですがムスリムになる方も増えてきているようです。なぜなのか。その理由はさまざまでしょうが、宗教の「市場化」が後押ししていることは否めないと思います。信仰と金銭との結びつきの強さ、それに対する懐疑といってもいいかもしれません。宗教が「職業」となったとき、労働市場に引きずり出されることは必然であり、その労働に伴う営為により何が得られるのか、コストパフォーマンスが求められることが少なくないように思います。
このモスクの見学に料金は要りません。すべての人を受け入れようとする「気」の清浄さを感じます。
東京ジャーミイ
2023年8月5日土曜日
卒業研究中間発表会(経営領域)が開催されました
モチベーション行動科学部・経営領域の卒業研究会が開催されました。
モチベーション行動科学部は、経営、心理、教育の3つの領域を学び、3年生からいずれか1つの専門に絞ってそのゼミ(研究室)に所属して勉強に励みます。近年、経営領域は学部中最多の学生が属するようになり、今年の卒業研究発表会は午前・午後の二部制にしなければならないほどの盛況となりました。
今年の我が研究室の卒研生(4年生)の研究題目は以下の通りです。まだまだ題目そのものを練る必要はありますが、およその方向性は出ています。
1 喜田家町屋店2階和風サロンの活用のしかたについて
2 学生と地域の接点を可視化するプロジェクト
3 東京未来大学オープンキャンパスにおける街歩き企画の可能性
4 キャンプ場経営による地域活性化について
5 東都生協との協働による居場所づくりプロジェクト
6 足立区における子ども食堂の課題について
7 SDGsビジネスに関する実践報告 ー麻袋・足立区内企業との共同バッグ制作ー
8 地域の魅力を最大限引き出すスタンプラリーの活用方法
9 若年層向け足立区魅力発信プロジェクト
このうち1は昨年度の卒業生が手掛けたプロジェクトの後継です。色彩検定2級をもち将来はインテリアコーディネーターを視野に入れてキャリア構築を目指す学生の研究(卒業論文)になります。
2は、副題で絞りをかけるのですが、地域活性化を促すフリーペーパーの創刊を区内NPOとの協働で目指すプロジェクト報告書になります。長年、区内外で協働・共創に従事してきた学生の研究がどう結実するのか見ものです。
3は、一昨年度以来、生涯学習センターとの協働で継続している地域活性化のためのまち歩きプロジェクトを、オープンキャンパスに組み込む計画案です。長年、オープンキャンパスのボランティア(未来大では「キャンパス・クルー」と呼びます)に注力してきた学生ならではの研究になるでしょう。
4はキャンプを趣味とする学生が自らのキャリア構築と重ねて実施する研究となります。コロナ禍でキャンプが盛り上がりを見せましたから、その前後を比較すると面白い研究になりそうです。
5、6は、学生は異なりますが、ともにコミュニティの「居場所」にかかわる研究になります。一方は組合企業、もう一方は様々な地域主体がかかわるものですが、その背景にあるものは「格差問題」です。子ども食堂の最終目標は子ども食堂をなくすことであり、「居場所」をわざわざ他者が設けなくとも人々が自らの居場所を容易に見つけられるコミュニティの構築です。両学生とも、ほんとうに「子ども食堂」「居場所」が必要な人にその情報が届いているのか、利用できているのかという問題意識をもって研究に臨みます。
7は、これまでこの研究室ブログでもたびたび話題にしてきた、輸入されたコーヒー豆を入れていた麻袋を利用したバッグの製作・販売過程を追う報告書になります。
8は、その起源をお遍路や巡礼に求めることができるスタンプラリーが地域活性化に貢献できるのかどうかを問う研究になります。すでに複数回フィールドを踏んでいますが着眼点の良い学生なので調査結果をどのように展開するのか、楽しみです。
9は2人の学生の共同研究になります。経緯は3の研究と同じですが、北千住の地域資源は商店街であるという持論からこれをまち歩きに組み込んだまち歩きルートを作成し、それをさらにSNS等で情報発信するとどのように「つながり」や集客に成果が表れるのかを計量的に分析します。
まああくまで予定なので今後どうなるのかわかりませんが、うちのゼミだけでなく、経営領域のゼミの士気は高いです。 2月の卒業研究発表会が楽しみです。
2023年8月1日火曜日
2023年7月23日日曜日
2023年7月1日土曜日
あだち未来スケッチAction!に参加してきました
足立区内外で地域活動に従事する学生たちの交流の場「あだち未来スケッチAction」に学生と参加してきました。
この道を切り開いたのは昨年の学生たちなのですが、今年は、うちの学生と文教大学の学生さんとが協働して企画を練って進行させたこと、企画と司会ばかりではなくゼミから4人の発表者が出たことが大きいですね。
昨年の足立区6大学学長会議のテーマの趣旨が学生の力をどのように地域に活かすかということだったので、学生がイニシアティヴをとりながら企画を進行させたことは会議の趣旨にかなうものでしょう。学生どうしがつながり新たな価値を創造できるようになることを切望してきただけに、何とも意義深いイベントでした。
2023年6月15日木曜日
タマコーヒー@千住 大門商店街にて
先日、ゼミの学生と協働先のタマコーヒー(TAMA COFFEE ROASTER)さんにお邪魔してきました。
そう。あのタマコーヒーさんです。
SDGsビジネスの流れに乗って、廃棄物となっていたコーヒー豆を入れていた麻袋をバッグに生まれ変わらせ、そのバッグのデザインにうちのゼミ生が携わらせていただいたという、あの。
暑い日だったので入れていただいたアイスコーヒーがことのほかおいしく、ついつい長居してしまいましたが、目的は学生がお店のお客さん相手にとるアンケートの質問項目についての協議。それ以外のお話の方が多かった気がしますが、コミュニティでは他愛もないお話の方が大事だったりします。
帰りにコーヒーをお分けしてもらいました。研究室を豊かなコーヒーアロマの香りに包めるように。
2023年5月21日日曜日
日本比較文化学会第45回大会・2023年度国際学術大会で発表・報告してきました
北海道・苫小牧市の北洋大学で開催された学会に同僚教員とともに参加してきました。広大なキャンパスに最新の教室環境、とても羨ましいです。
午前は総会、午後イチに香山リカさんの基調講演を拝聴した後、分科会に分かれての発表・報告というスケジュールでした。私は、宗教・哲学ジャンルに振り分けられて、その先鋒を務めました。
テーマは「沖縄における梵字碑の語意と真言宗との関わりについて」
梵字碑の梵字内容から、種子碑と真言碑に分け、種子碑は個人宅並びに集落の石敢當の役割を受け持ち、光明真言碑と種子碑の併存する空間において光明真言法をはじめとする何らかの修法が行われていた可能性についてフィールドワークの成果をもとに報告しました。報告後は沖縄出身の学生や同領域研究者からの質問も飛び、意義深い質疑応答の時間となりました。何年振りかに「マジムン」というウチナーグチを使ったのは、沖縄出身の学生からの質問に触発されたからでしょう。
学会開催もまた地域活性化の一助となることを改めて確認できた大会参加となりました。一泊二日の短い旅程で、FWも何もできませんでしたが、帰り道に見た苫小牧沖の海は広大で北海道らしい海でした。
2023年4月15日土曜日
研究室の活動が始動しました
何年ぶりでしょうか。
新しく研究室に配属された学生とともに千住地区のフィールドワークに行ってきました。
今年卒業した研究室の学生が制作したまちあるき地図をもとにおよそ1時間の道行き。朝早かったせいでしょう、おいしそうなパン屋さんにリーズナブルな値段のお弁当屋さんに定食屋さん、お店の店先にある看板やらメニューやら、「飯テロ」に遭ってはきゃあきゃあ歓声を上げるという、まちあるきバイキング状態に。
3年前に始まったこのまちあるきプロジェクトは連綿と受け継がれ、この学生たちの中から4代目が出てくるでしょう。
「この道を行くのは初めて」という声を聴くと歩かせて良かったなと切に思います。
さて、始まりです。
2023年3月3日金曜日
2023年2月19日日曜日
卒業研究の成果を地域に還元する
自分の研究したいことを研究することは楽しい。
その研究が人びとの役に立つのであればもっと楽しく、そして嬉しい。
これがウチの研究室で4年生が成し遂げる卒業研究の方針というか、自然にそうなってしまいましたね。
○まちあるきでまちの活性化を狙うプロジェクトチーム
→自分たちで地図を制作してそれを地域の皆さんとのまちあるき企画に仕上げていきました。
○和菓子屋・喜田家さんとの商品リニューアル・プロジェクトチーム
→これでもかという栗感満載のお菓子「プロンセスマロン」を喜田家さんと一緒になって作り、そのプロモート企画も計画・実施しました。
○個人研究/足立区の地域猫をテーマとする研究
→NPOと協働。その調査依頼を受けて、その結果を卒業研究に盛り込み、2月18日、足立区のNPO活動推進センターで調査結果を報告しました。
すごいよなと思うのはこうしたプロジェクトを受け継ぐ者(現3年生やこれからゼミに入ってくる新3年生)がいるということ。研究室の伝統となりつつあります。