2021年1月31日日曜日

卒業研究、全員提出できました

先日、ゼミ生が卒業研究を全員提出することができました。

それぞれの題目は以前このブログでも紹介させていただきましたが、もう少し。

卒業研究はプロジェクト報告書と卒業論文に大別することができます。

報告書については、地域イベントの1つ「あだち紙ものフェスティバル」と商品開発「ほめじょーず」に関する報告書が提出されました。

①「地域連携『あだち紙ものラボ プロジェクト』報告」

②「地域連携・協創による商品開発『ほめじょーず』プロジェクト報告書」

前者は足立区内の印刷・出版業者のCSR事業「紙ものラボ」に参加してイベント「足立紙ものフェスティバル」プロジェクトを協働して遂行した学生による報告書です。

後者は、東急ハンズでも販売されるようになったカードゲーム「ほめじょーず」を(株)しまや出版と協働した学生による報告書です。

地域、コミュニティ、組織にどっぷりつかって参与観察を実施し、それを分析の対象とする研究室の趣旨をよく理解して実践した成果物に仕上がりました。報告書なので、分析よりも「分厚い記述」に主眼を置いています。

卒業論文は、さらにコミュニティ系とデザイン系に大別されます。

コミュニティ系としては

③「地域イベントを告知する媒体と集客効果に関する一考察」

この論文はブログでもたびたび紹介させていただいた足立区・関三商店街をテーマとしており、プロジェクトに没入して得た観察とインフォーマントをもとにしています。コロナ渦でなかなか深掘りできずに苦労していましたが、きっちりカタチにできたのがよかったですね。①②もそうですが、プロジェクト参加者は手早く卒業研究をまとめることができますね。

④「商店街での信用金庫の役割〜北千住駅前・旭町商店街におけるCSRをもとに〜」

この論文では、大学及び研究室が大変お世話になっている足立成和信用金庫旭町支店のCSRについて、北千住駅東口に伸びる旭町商店街を調査対象地に選定し、その効果を明らかにしたものです。足立成和信用金庫の皆さま、旭町商店街の皆さまのお人柄と熱意によってこの論文は仕上げられたと述べても過言ではないでしょう。

⑤「都市における公園の遊具の変遷について〜対戦型ゲームプレイヤーのもつ遊びのイメージを基に〜」

この論文は、なぜ遊びは争いの要素を入れるようになったのか、そしてその争いの強度が増しているのか、を研究の背景とするものです。もっと時間を作って多角的な分析ができたらもっと深いところまでたどり着く論文になっていたと思います。惜しいなあ。

⑥「県庁所在地の地域活性化と鉄道インフラとの関わりに関する一考察―前橋駅と高崎駅との比較を通じて―」

高崎市・前橋市、世紀を超えるいがみ合いを描きます。嘘です。県庁所在地でも栄えていない都市ってなぜなんだろうという素朴な問いかけが発端の論文です。交通インフラの集積いかんで〜という結論が見えてしまいそうですが、ところがドッコイ!コロナ渦では決まり切った結論にならないよ、さあどうするの?と今まさにここで起きている危機を考察に入れているのが好印象です。

⑦「横浜市内のオーガニックカフェにおける店構えについて」

デザイン系かと思いきやコミュニティに近接していってしまいました。調査に行くのが遅かったのが残念。でも横浜のオーガニック・カフェ巡りには使える良著です。

デザイン系としては、

⑧「J.D.クランボルツによる『計画的な偶発性』に関するー考察〜若年世代の進路選択を中心に〜」

デザイン系といってもキャリアデザインです。クランボルツ理論は現在の大学生にも当てはまるのか、特にキャリアプランが明確そうに見える集団を対象にしてその人びとの過去のキャリア選択における「偶発性」を探り出し、その偶発性について被験者の意識に迫るインタビューがとてもよいですね。

⑨「住宅エントランス部分におけるインテリアのレイアウトと色彩効果について」

着眼点は素晴らしいのですが、調査法の知識不足で分析が不十分なまま終わってとても残念です。また、調査も遅かった。時間がなかった=時間を作ろうとしなかったことが最後まで響いてしまいましたね。副査の先生から大幅な修正意見が出される可能性が大です。

とまあ辛口の批評もしてはいますが、皆、卒業へと前進しました。あとは、要旨の提出、発表へと進みます。

調査過程でお世話いただいた皆さま、学生がまことにお世話になりました。またお礼を申し述べに伺います。


三密回避のため少人数でしか入室できない状態
研究室でチェックの後に製本作業を終えて
最後のくつろぎになるかな

2021年1月27日水曜日

卒研指導、佳境に

現在、5人が完成。リーチが4人。

今の今までリモート、対面も含めて、指導指導指導。明日も朝から。

「手段の目的化」…目的遂行のためにある手段・方法がいつのまにか「手段・目的」を守らせることが目的になっていること。目的が完成しているにもかかわらず、これを錦の御旗のように振り回されると仕事が増えますな。

『西郷南洲遺訓』を想い出します。いわく「「東湖先生申されしは『小人程才藝有りて用便なれば用ひざればならぬもの也。去りとて長官に居すゑ重職を授くれば、必ず邦家を覆すものゆゑ、決して上には立てられぬものぞ』と也」。「小人」に大きな権力を与えてはいけないと西郷どんは言わっしゃった。至言ですね。

さて、あと4人。9人全員を卒業できる状況へ持っていけたら、地域課題に向き合う時間がようやく取れます。靴の中に入った不快な小石は取り除いて、前へ。

東寺五重塔
建築基準法違反 でも建っている
阪神淡路大震災でも倒壊しなかった国宝・世界遺産
法に反するからって壊せる?

2021年1月20日水曜日

When you wish upon a star...地域マネジメント学会そして卒論指導の日々

昨日、地域マネジメント学会の第4回学術編集委員会を開催しました。

委員会を取りまとめさせていただき、はや1年半くらい?前委員長、副委員長、委員の皆さんに支えられて何とかやっています。実は昨日もポカをやってしまい、前委員長から優しいお諭しをいただいたり(-_-)

コロナ渦で今年度の学術大会は見送りましたが、学会誌は発刊するので、その論文の査読結果の検討が今回の委員会の主要な議題となりました。新会員、なかでもここ数年続けて大学院生の論文が寄稿されているので、次代を担うホープとなる研究者育成という観点からも、論文を書く力を大切に育ててあげたいです。


学会公式サイトから

私はといえば、ここ2年、学会誌に書いていないですね。

あまり堅苦しく考えてもしかたないのですが、査読結果を出す側なので「李下に冠を正さず」ということで。しかし、これがpaperを書かない言い訳になってもいけないので、来年度は実践報告くらいは書こうかなと思い始めています。

paperといえば卒業研究指導が佳境です。クライマックスです。提出まであと1週間余です。

まだ「分析」をやっている学生がいたりしてハラハラしているのですが・・・ちょっと待て、自分はこんなに指導教授に指導してもらったっけ?おそらく2回しか見せていないはず・・・修論、博論いわずもがな。

琉大図書館にて
後輩達、引用せよ!

「それでよく通してもらったよな」の思いがいま自分が指導している学生への「愛」に昇華しているのかもしれないですね。「愛」それは耐え忍ぶもの×9人の卒論生・・・

まあ、分析なども一緒にやってあげたりしています。

「学生が独力でやるべき」の建前もありますが、モンハンと同じ。一緒に狩りに出かける楽しみもありますから。

仮説を立てる、調査結果の中から仮説に見合うデータを取り出してみる、ヒットしたときの高揚感!

それを学生と共有するのは決して悪くない、というよりこの一瞬のために仕事を続けているんじゃないかと思うくらい。昨日も。

遊ぶゼミ生 before COVID-19

コロナ渦にあって、大学教育も対面、リモート、あるいはそのハイブリッド化が進行していますが、デジタル・ネイティブといっていい彼らも最後は研究室での対面指導を望みます。人と人とが会うことが貴重な機会であることを、またリモートで済むのに面会を強いられるのはほとんど暴力であることを、それぞれコロナ渦で実感しております。

来年は学会の学術大会もゼミや卒研指導も対面でしたいなあと、星に願いを。


<2020卒業研究テーマ一覧>

「商店街での信用金庫の役割 〜北千住駅前・旭町商店街におけるCSRをもとに〜」

「J.D.クランボルツによる「計画的な偶発性」に関するー考察 〜若年世代の進路選択を中心に〜」

「地域連携『あだち紙ものラボ プロジェクト』報告」

「地域連携・協創による商品開発『ほめじょーず』プロジェクト報告書」

「住宅エントランス部分におけるインテリアのレイアウトと色彩効果について」

「県庁所在地の地域活性化と鉄道インフラとの関わりに関する一考察 ―前橋駅と高崎駅との比較を通じて―」

「横浜市内のオーガニックカフェにおける店構えについて」

「地域イベントを告知する媒体と集客効果に関する一考察」

「都市における公園の遊具の変遷について 〜対戦型ゲームプレイヤーのもつ遊びのイメージを基に〜」

2021年1月16日土曜日

成るか? キャプテン・プロジェクト in 鐘ヶ淵

日本各地で漫画・アニメを使ったまちおこしがおこなわれていますね。本学近くでも、千代田線亀有駅前では、ご存知、『こちら葛飾区亀有公園前派出所』。葛飾区では『キャプテン翼』。その他いろいろ枚挙に暇がありません。アニメツーリズムでの地域活性化、とも言います。

Googleで「聖地」を検索してみると、宗教・祭祀上の聖地よりも、こうした漫画やアニメの舞台となった「聖地」がワンサカ上がってきます。すげぇな。

さて、本学の最寄り駅・東武伊勢崎線(スカイツリーラインだと?)堀切駅のお隣、鐘ヶ淵駅でもアニメツーリズムの動きがあります。というか、その動きに加勢しております。

夕暮れどきの鐘ヶ淵駅 
向こうに東京スカイツリーが見えます

名づけて、「キャプテン・プロジェクト」 

皆さんはご存知でしょうか。野球漫画『キャプテン』を。

『キャプテン』第1巻表紙から

『キャプテン』、調べてみると1970年代を駆け抜けた野球漫画なのですね。作者はちばあきおさん。

もちろん、その舞台は東京下町。

架空の学校ですが、墨谷第二中学校(通称:墨谷二中)の野球部の熱い活動を描いています。最初は谷口という主人公が設定されていたのですが、谷口卒業後は特にだれが主人公というわけでもなく、お互いを気遣い、補い合いながら、野球部員の人間的な成長が描写されています。この『キャプテン』に出てくる商店街は鐘ヶ淵駅前の商店街をモティーフにしているのではないかとも言われているようです。なので、「キャプテン・プロジェクト」なんです。

魔球を投げたり、超人的なテクニックを披露したり、そういう表現はありません。人間が人間として描かれています。

昭和の漫画ですから、その時代にありがちな「根性」「精神論」も随所にまぶされています。実は、そこらへんが今どきの大学生の感性には合わなかったようで、ウチのゼミ生からは「『キャプテン』をまちおこしに使うのは無理では?」との直言も。

僕が講義履修者を対象として調査をしたり、ゼミ生が本学学生を対象として後半に調査したりしましたが、若い世代の『キャプテン』認知度は低く、ゼミの学生らは『キャプテン』以外の地域活性化案をまとめながら、「キャプテン・プロジェクト」を並行して進めている案配です。

さて、僕の思いは。

やはり『キャプテン』を地域活性化の主たるテーマとした方がいいかな。ただし、『キャプテン』で集まってくれるのは中高年の皆さんだと思うので、若い世代への認知を高めていかなければならない、という線を追いかけてみようかと。

『キャプテン』を一読していただければわかると思うのですが、チームワークって何だろう、組織と個人との関係は?、絆って何だろう?・・・こんなことを考えさせられます。キャリア教育に使えるし、国が大好きな道徳教育にも適した漫画なので、

どうですか墨田区の皆さん、小中学校の道徳教育のオリジナル教材として『キャプテン』を使ってみては?

僕自身はキャプテンのストーリーを使いながらキャリア教育ができるんじゃないかと見込んでいます。ワークショップの実施も地平線の向こうに見えています。



商店街会長から説明を受ける学生@鐘ヶ淵駅前

昨年末、冷たい風が吹きながらも暖かみのある陽光のなか、商店街の皆さんとともに学生らは商店街全体のフィールドワークに赴きました。それをもとにwebでちょこちょこMTGをしながら考えを巡らしているようです。来年度は生まれも育ちも墨田区というホープが我が研究室に入ってきます。代替わりのダイナミズムのなかでこのプロジェクトが地域の皆さんの笑顔と学生の成長につながるよう微力を尽くしたいと思います。

森下研究室はまちづくり・公共経営の理論と実践を学べる研究室です。

また、東京未来大学は創立から間もない若い大学ですが、多くの協働案件を抱え、東京下町がそのまま講義の場あるいは研究室になっている大学です。

緊急事態宣言のなか、巣籠もりしながらできることを考え、話し合っています。今も。



ねこのお相手をしながら学生とリモートでつながっています
左のあんよのこの角度がチャームポイント 
尻尾がボボンと太いのは黒ちゃんとおっかけっこしたからです。

2021年1月14日木曜日

すがたカタチが見えてきた 町屋プロジェクト

荒川区・町屋駅前にある和菓子屋・喜多屋さん。本店や工場は足立区にあります。その支店が町屋駅前にあるんです。


小竹橋通りの向かいから

この2階におもしろいスペースがあります。その上の3階にも。

初顔合わせ@2階

ここを使って若い世代の交流拠点のようにしたいという店主・社長さんのリクエストに応えて学生が動き続けてきました。

雨ニモマケズ 風ニモマケズ コロナにも負けず

ウチのゼミ生だけでなく、講義「地域連携Ⅱ」を履修しているモチベーション行動科学部の1年生3人も参加して、とても良い学年間連携ができていました。1年生は春学期にコロナで大学に入校できなかった思いを弾けさせるように

リスク管理をきちんとしながら、社会調査もしたし、週に一度の定例MTGをこなし、調査に基づく計画をも作って社長さん・足立区役所・NPO足立フォーラム21の皆さんにプレゼンも。

3階の測量に励む1年生と3年生2人

紆余曲折、喧々諤々の議論は省きますが、ここを勉強カフェにする。それが2020年度に携わった学生たちの結論でした。

んが! 緊急事態宣言が再発令されて小休止せざるを得ない状況に。

この感染拡大の現状については、昨春の緊急事態宣言以降なにをやっていたんだよ!と為政者に文句を言いたい。こうしたプロジェクトの縮小はもちろん、<Go to 商店街>での各商店街イベントも中止に追い込まれてしまったじゃないですかー

とはいえ、この状況でできることを探していくのですけれどね。

猫に慰められる日々です。。

くろちゃんと深夜 書斎の椅子がお気に入り
冬毛でほっぺがフワフワ

2021年1月1日金曜日

新年のご挨拶

新年を迎えました。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。


ただし、例年とは異なり、めでたく、言祝ぐお正月にはほど遠い2021年1月1日です。

初詣に行くことも、運動不足のためのジョギングも、感染リスクを高めます。事実を直視し、それに対する対策をしなければならない2021年の幕開けです。


国内外で新型コロナウィルスに感染された方が激増しています。亡くなられた方のご冥福をお祈りするとともに、ご遺族の方にお悔やみを申し上げます。また、現在闘病中の方、そのお身内の方、どうか快方に向かわれることをお祈り申し上げます。

そうした方々に寄り添っていらっしゃる、医療関係、宗教関係、ご葬儀関係をはじめとする皆さんに感謝と敬意を表します。


年末の都内はあまり日常と変わらない風景でした。これで大丈夫なのだろうか、自分が神経質すぎるのだろうかと訝っておりましたが、ここ数日の感染者増をみると、やはり不適切な行動をしていたのかもしれません。

自戒を込めて申し上げますが、いま新型コロナウィルスに罹患していないと思っていても無症状であることもありますから感染させないように、そして健康体であるならば自らが感染しないように、努めませんか。

自らの拠りどころであるコミュニティを危機に陥らせないために工夫が必要だと思います。


マスクをしましょう。研究室ではマスク必須です。

フェイスシールドも適宜活用しましょう。研究室では、来訪を受けた場合、私がフェイスシールドを着用し、来訪いただいた方にも強く着用をお勧めしています。

換気をしましょう。研究室では常に換気をしているので上着必着です。でも暖かい暖房も用意しています。

手を消毒しましょう。研究室にご来訪いただいた方には消毒していただいています。

会食はやめましょう。研究室では飲食厳禁です。


数え上げればキリがないのですが、ニューノーマル=個人レベルでの厳戒態勢の徹底だと思います。このような認識のもとで臨む2021年になりますので、当研究室の活動についてどうかご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。




このナノマスク、N95と同レベルだそうです
もうダースベーダーがしているようなマスクがほしいですね〜